歯ブラシの昔の製造工程
皆さんはどんな歯ブラシをお使いですか。
ここでは昔使われていた様々な歯ブラシを紹介しましょう。
【骨柄歯ブラシ】
骨柄歯ブラシは名前の通り柄の材料に牛骨、刷毛部には豚毛が使われたものです。骨柄歯ブラシの制作工程は何段階もの複雑な工程を経ており、手をかけて制作されていました。
製造初期は全行程を手作業で行っていましたが、牛骨を柄の形にする際に粉が出るためまとめて作業した方が良いことから、明治15、16年頃に動力貸工場ができたことから貸工場を使ったそうです。切る、穴を開ける、摺る、磨くなどの工程はそれぞれ動力を使い、熟練した職人によって作られました。生産能力は1日に300〜400本ほどであったようです。
生産形態は各工程を外注に出す半問屋的形態と、工場形態をとって間に合わないところを外注に出す場合とがありました。農家の副業として各工程をそれぞれ1軒ずつが受け持つことが多かったためか、自工場の仕事が終わってから、毎日遅くまで外注先を回ったそうです。
【竹柄歯ブラシ】
竹の柄に天然毛を植毛した歯ブラシが、竹柄歯ブラシです。まれに木で作られたものもあったと言います。古くから舌こきの習慣があったことから、竹柄の真中を薄くして舌こきとしたものでした。竹で成型して磨いた柄に、牛や馬の尾の毛を植毛したもので、戦時中は陸海軍御用の歯ブラシも作られていました。
【セルロイド柄歯ブラシ】
セルロイド柄歯ブラシは、規格の統一や大量生産が容易であることから大量に販売されましたが、第二次世界大戦が始まったために原料が武器に使用され、次第に生産されなくなりました。戦後は合成樹脂ナイロンが入ってきたため、そのまま姿を消してしまいました。製造方法は、板状のセルロイド生地から柄1本の大きさを裁断し、その生地を熱と重しで成型するものでした。特に植毛はセルロイド専用植毛機ができたために、機械化が進んだそうです。
【尿素樹脂(ユリア樹脂)柄歯ブラシ】
尿素樹脂は尿素とホルムアルデヒドを統合したもので、熱硬化性樹脂のため耐熱性のものとして多く作られました。毛は天然毛が使われましたが、植毛は針金を使用して柄の背面から行われたので、その跡を松ヤニで塞いだために歯ブラシの背面には3〜4本の筋がありました。