プロだって自費出版
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プロだって自費出版

商業出版で作品を発表したことのあるプロの作家、もしくは、さまざまな業界で名のある文化人など、いわゆるプロの物書きでも、自費出版することもあるようです。

Eさんは、過去に三冊もの本を企画出版しており、新聞や雑誌などでも連載をもっているライターです。ただ、書いているいずれもが、企画ありきで、オファーを受けて書くもので、自身の企画で仕上げるということは皆無でした。そこで、本当に自分で書きたいことを書いてみようと、自費出版をすることにしました。私家本ではなく、書店に流通させることも目的です。その場合、著者自身が費用を出すので、売り上げがどのくらい著者に入ってくるかなどの条件は非常に大切になってきます。その上で、ある程度のクオリティも必要になってきます。という点から考えても、プロが自費出版をしている出版社というのは、やはりひとつ、信頼できるポイントとなってくるでしょう。

大正時代の文豪、永井荷風は、『腕くらべ』という作品を書いたのですが、過激で濃密な性描写があり、あえて私家本として出版したそうです。その後、商業出版された本とは本文に違いがあるとのこと。

たとえプロといえども、作家が本当に書きたいこと、伝えたいものを出版できるのが、自費出版の強みであり、最大の特徴と言えるかもしれません。

また、第7回中原中也賞を受賞した、日和聡子さんの詩集『びるま』は、私家本として出版されたものです。

このように、自費で出版された本の中には隠れた名作が潜んでいるかもしれず、作家が本当に書きたいことを飾らずに書いているのであれば、読者としてもそのような本に出会えることはとても幸せなことです。自費出版されているプロの作品を読んでみたくなりますね。