歯ブラシの製造工程
製造工程で大切な植毛方法には、大きく分けてふた通りの方法があります。
植毛機で柄に毛を植える方法は、植毛機に柄・ナイロン毛・平線をセットすると機械によって自動的に植毛されます。最近ではコンピューター制御の植毛機が導入されています。機種には日本製(辻村式)、ドイツ製(ザホランスキー社)、ベルギー製(ブーシュリー社)などがあります。
植毛方法はナイロン毛をU字状に半分に折って、折られた部分に平線を挟み込んで毛止めにして柄の穴に押し込みます。1穴用の毛の本数は歯ブラシの種類によって異なり、また技術の向上によって従来の本数はより増えてもいるようです。
もうひとつの植毛方法として熱で柄に毛を植える方法があります。柄に穴を開けずに毛束と一体になるように考案された方法で、現在は「In mould植毛」で製造した歯ブラシが数種作られています。植毛方法は金型に毛束をセットし、毛束の根元にあたる部分をヒーターで熱して溶かします。ヒーターを除去し、そこに柄の部分になる金型を合わせて柄の材質を流し込んで作製します。この方法の利点は、柄の頭部が薄くできることと、毛の断面や毛束の向きに多様性を持たせることが挙げられます。
植毛の後は毛切り機で毛の長さを一定に揃え、毛先の処理が行われます。
植毛された毛先は、毛先丸め機により毛先を丸める処理が行われます。毛先を丸める処理は、口腔軟組織は傷つかないようにするために、とても大切なことなのです。方法としては、「コーン」と呼ばれるサンドペーパーのようなやすりを使うことが多く、コーンの上で毛に圧力を加えて擦ります。テーパードの場合は毛先を丸めるときに毛を寝かせるほど強く圧力をかけ、フラットテーパードの場合は毛先の先端を両側からコーンで加工して角のない薄い状態にするなど、目的に合わせて圧力のかけ方を変えて製作します。
毛先が球状、もしくは極細毛である場合は、毛先の処理を先に行ってから植毛されます。この場合は普通のナイロン毛は使用できず、ポリブチレンテレフタレート(PBT)が使われます。球状の場合は毛先に熱を加えて溶かし、表面張力によって球形に形成されます。極細毛は切った毛の両端を片方ずつアルカリ性の液に入れて溶かし、洗浄・乾燥させることで極細毛が出来上がります。
その後、人の目によって1本1本製品検査を行い、12種類くらいの検査項目をチェックして不良品を除外していきます。そして刻印や自動包装機によって1本ずつ包装されます。