終活やることリストは?親子で始めるポイントを紹介
メディアで度々話題に挙がる終活。早めに始めたほうが良いのはわかっていても、
「家族に終活の話題を切り出すのにどうしても抵抗がある」「何から手を付けていいか分かない」と悩んでしまっている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
終活はやることがたくさんありますが、親の意思を反映できたり、遺品整理の負担を軽減できたりなどのメリットもあります。
本記事では、終活をスムーズに進めるのに役立つやることリストや、親子で終活をする上で押さえておきたい知識を詳しく紹介しています。
また、終活をためらっているご家族に上手く相談を持ち掛けるコツについても解説していますので、そちらもぜひご活用ください。
親子で始める終活のやることリスト
終活とは、自分の最期を見越して行う活動のことです。
具体的にはお墓の準備や、財産や身の回りの物の整理などが挙げられます。やることが多く、先延ばしにしがちな終活ですが、事前にやることを整理しておけばスムーズに進められます。
以下は、終活のやることをリストです。必ず順番通りに行う必要はありませんので、気になるものからチェックしてみましょう。
エンディングノートの作成 |
相続対策や遺言書の準備 |
財産や持ち物の整理 |
医療や介護に関する意向確認 |
葬儀やお墓の準備 |
住まいの見直し |
デジタルデータの管理 |
エンディングノートの作成
エンディングノートとは遺された家族に対し、自分の気持ちや資産などに関する大切な情報を伝えるためのものです。
エンディングノートがあれば、万が一のことがあった時も、親の気持ちを尊重した対応ができたり、遺産を整理がしやすくなったりします。書く内容に決まりはありませんが、なにを書いてもらえばよいか分からない方は、以下の項目を参考にしてみましょう。
- 大切な方へ向けたメッセージ
- 終末期の医療が必要になった時の意思
- 介護が必要になった時、どうしたいか?
- 遺品の相続について
- SNSのアカウントなどのパスワード
- 宗派などの葬儀にまつわる情報
エンディングノートには法的効力が無いのでその点は注意が必要です。
もし相続を行う際、ノートの内容に沿って行って欲しいという希望がある場合は、ノートとは別に遺言書を作成しましょう。
相続対策や遺言書の準備
遺言書があれば、遺産分割をスムーズに進めることができ、家族間のトラブルを未然に防ぐことが可能になります。
遺産分割については、遺言書がない場合、相続人同士で話し合って決めなければなりません。しかし、その作業が葬儀と重なると、遺された家族に大きな負担がかかります。また、分け方に不満が生じることも考えられます。
相続には税金がかかり、場合によっては多額の税金が発生することも。トラブルを避けるために、以下の対策を考えておくことが大切です。
- 遺言書に遺産の分配や形見分けの内容を明記しておく
- 保険商品を利用して、相続人に指定した金額を分配する方法
- 毎年少しずつ生前贈与を行い、家族や親族に資産を渡しておく
これらの対策を事前に行うことで、相続時のトラブルを避け、親の意思を尊重することができます。親子でしっかり話し合い、準備を進めておきましょう。
財産や持ち物の整理
財産や持ち物の整理も行っておきましょう。定年退職後はこれまでの貯金や年金を用いて生活しますが、どんなに資金があっても無計画に運用してはすぐに底をついてしまいます。
以下の内容をチェックし、老後や万が一の備えの資金計画を立てましょう。
- 預貯金
- 今受け取れるまたは受け取っている年金額
- 生活費の金額
- ローンの有無やその金額
これらを明確にすることで、当面生活できる期間や入院・介護にかけられる費用を具体的に計算できます。葬儀費用などに充てることも可能です。
また、いらない物と残しておきたい物を整理してまとめておくと、いざというときすぐに対処できます。物品だけでなく、写真や書類なども整理しましょう。
財産と持ち物を整理するだけでも、いざというときの負担を大幅に軽減できます。本格的に動き始める際は、まずはお金や物の整理から始めるのがおすすめです。
医療や介護に関する意向確認
まず、親がどのような医療や介護を希望しているかを確認しましょう。これにより、親の体調が急激に悪くなった時にも、本人の意思を尊重した対応を取ることができます。
万が一の事態を迎える場合、その前に入院や介護が必要になるケースがほとんどです。亡くなったときだけでなく、入院や介護が必要になった場合にも備えましょう。具体的には、以下の情報を収集・確認します。
- 入院が必要になった場合、搬送される可能性のある病院の基本情報
- 入所する必要性が出た場合、利用できる介護施設の候補や基本情報
- 認知症や意識不明になった場合の意向確認
このうち、特に入念に調べておきたいのが、介護施設です。介護施設はサービスや料金が明確に分かれており、すぐ入所できるとは限りません。また、入所できたとしても本人の意向などに合わず、後悔するケースもあります。
これらの事態を避けるためにも、入院や入所が必要になった場合に利用できる施設や、親の意向について確認しておきましょう。
葬儀やお墓の準備
葬儀やお墓の準備も進めます。親が希望する葬儀の内容を確認し、生前予約も検討しましょう。これにより、親が納得できる葬儀を実現しやすくなりますし、費用も事前に把握できるため、予算を立てやすくなります。
さらに、生前に自分が入るお墓を用意しておく「生前墓」を準備しておけば、遺された家族が後々お墓の準備に悩むことがなくなり、親も安心して老後を過ごせます。もし、生前予約やお墓の購入を行わない場合でも、エンディングノートなどに希望を記しておきましょう。
住まいの見直し
親が老後どこで暮らしたいかを早めに確認しましょう。早めに確認しておけば、必要な費用や準備について計画を立てやすくなります。
考えられる選択肢は以下の通りです。
- 今の家に住み続ける
- 子供と同居する
- 高齢者向けの物件や施設に住み替える
高齢になると、運動機能の低下や家の老朽化などを考慮する必要があります。場合によっては、リフォームが必要になることもあるでしょう。
住まいの問題は一朝一夕で解決できるものではありません。できるだけ早めに家族間で話し合いしましょう。
デジタルデータの管理
スマートフォンやパソコンに保存された写真やデータを見直し、不要なクレジットカードやサブスクリプションを解約します。機器ごとに利用しているサービスが異なることがあるため、それぞれの状況を確認することが必要です。
次に、終活を円滑に進めるため、必要な情報をリスト化しましょう。リストを作成することで、複数の作業を順序立てて進めやすくなります。また、親が行うべきことと、家族が手伝えることを明確に区別しておくと、親の負担も軽減できます。
上記はあくまで一例です。このほか、事前準備の段階で必要だと分かる手続きがあれば、リストに追加します。一覧で見るとたくさんの作業があるように見えますが、ひとつずつこなしていけば簡単なものばかりです。リストを見ながら、できるものから作業しましょう。
親の終活を早めに始めるメリット
前項では終活に役立つやることリストを紹介しました。
リストを活用できれば、やるべきことが明確になるため、終活に対する心理的ハードルが下がり、スムーズに進められるでしょう。また、親の終活を始めることには、多くのメリットがあります。
ここでは、終活を始めるメリットについて詳しく解説していきます。
遺品整理の負担軽減
遺品整理の負担を軽減できます。遺品整理は分別や処分にかなりの時間と手間がかかります。親が管理している物品の状態や量を把握できていなかったために、死後数年かかったケースも珍しくはありません。
また、物に対する親の意向が分からなかったために、親や親族が大切にしていた物や、形見分けを約束していた物を処分してしまったケースもあります。
どれも親が存命なうちに物品整理をしておけば起こらなかったトラブルです。早めの終活には、遺品整理の負担を減らすのはもちろん、親族間トラブルを避け、親の意見を最大限に尊重できるメリットがあります。
親の財産を把握できる
相続対策や遺言書作成をとおして、親の財産状況を把握できるのも終活を早めに始めるメリットです。
預貯金や保険商品の内容を確認できれば、医療や介護が必要になってもスムーズに活用できます。事前に財産状況を把握しておいたことで、入院や入所にかかる費用を軽減できたケースもあります。
不動産などの管理が必要な財産を事前に把握しておけば、相続発生前に対策しておくことも可能です。また、相続の対象となるのは、財産だけではありません。借金などの負債も対象です。これらも相続に深く関わります。終活を通して親の財産状況を把握すれば、万が一の事態に備えつつ、思わぬトラブルの発生も防げます。
親の意思を反映できる
親の意向を反映できるのも、早めに終活を始めるメリットのひとつです。
終活準備を特に進めないまま親が認知症や意識不明の状態に陥ると、医療・介護・葬儀に関する希望を聞くことができません。万が一の希望を聞けなかったために、親や家族とトラブルにつながることもあります。
トラブルにつながらなかったとしても「本当にこれでよかったのか」といった後悔が生まれることもあるでしょう。終活準備をとおしてこれらの意向を確認しておけば、トラブルや心残りも生まれません。
早めの終活は、お互いの意見を確認しよりよく生きるためにも役立ちます。
親が終活をためらう理由
メリットがたくさんある終活ですが、なかなか一歩を踏み出せない方も少なくありません。
終活はどうしても死と向き合う必要があるため、非常にデリケートです。そのため、親の終活を手伝う際は、本人の気持ちや自主性を尊重する必要があります。ここでは、ご家族が終活をためらう理由について詳しく解説します。
終活に対してネガティブな印象を持っている
親は終活に対してネガティブな印象をもっているため、なかなか一歩が踏み出せないのかもしれません。終活は自分の死に直接向き合う行為もあります。
死は誰に対しても平等に起こりうることだとわかっていても、潜在的な不安や恐怖を持っているのが普通です。何かきっかけでもない限り、元気なうちから終活を考える方はそう多くありません。
まずは、親が自然と前向きな気持ちへ切り替えられるよう働きかけてみましょう。そもそも終活とは、今後の時間を大切に過ごすために行うものです。「死後のために整理する」というネガティブな伝え方ではなく、親自身の将来をポジティブに捉えた形で話を切り出すのがポイントとなります。
なにからしたらいいか分からない
終活ではさまざまな作業を行わなくてはなりません。やることが多く、どこから手を付けたらいいか分からないために、終活に対して消極的になってしまう方はたくさんいます。また、初めての作業に対して抵抗感を感じる方もいるようです。
年齢を重ねると、手間のかかることや初めてのことに対して抵抗を感じるのは、自然なことです。これは終活も例外ではありません。親と一緒に取り組む際は、大変な気持ちや不安な気持ちを汲んだうえですすめましょう。
作業が面倒くさい
終活に対する面倒くささも、高齢の方が作業を敬遠する原因です。終活は一つひとつの作業が大変なうえに、それらをまとめなくてはなりません。手間がかかるために、つい先延ばしにしてしまう方もいます。
大変だと感じる作業は、人により異なります。説得する際は、親にとって何が大変なのかを把握しておくことがポイントです。大変な部分は自分たちが手助けするといえば、もしかしたら意欲的に取り組んでくれるかもしれません。終活をすすめる際は、作業の面倒くささに対する対策も考えておきましょう。
子どもから親に終活の相談を切り出すコツ
終活する気のない親をその気にさせるのは、とても大変です。子どもから切り出すのは少々気まずいと感じる方もいるでしょう。その場合は、第三者の話から、親の終活の話題につなげるのが効果的です。具体的には、以下のような形で切り出します。
身近な人や芸能人を例に出す
終活を自分ごととして捉えると気が重くなる・面倒くさくなる人の場合、周りの人の話なら耳を傾けられる場合があります。身近な人や芸能人を例にして切り出しましょう。
身近な人や親も知っている芸能人をもとに終活の話を切り出すことで、少し離れた視点から終活について考えられるようになります。最近はテレビなどでもよく特集されているため、そうした番組を活用するのもいい方法です。
なお、災害や亡くなった芸能人の話を使う方法もありますが、死に対して重たい気持ちを持っている方の場合、この方法だと逆効果になってしまいます。
この場合は身近な人を例に挙げましょう。この場合は「○○さんは、エンディングノートに入院したときのことを書いておいたおかげで、スムーズに入院出来たらしいよ」という形で話題を振ります。もしもの備えについて話したら、周りの人に褒めてもらったなどの意見も効果的です。
身近な例を使うときは、どんな話なら親も聞き入れやすいかをよく考えましょう。
自分も終活していると伝える
周りの人や芸能人の話を使うのが難しそうなら、自分も終活しているという話を切り出します。
この場合、ネガティブな情報を出すと悲しまれたり、怒られたりして話が進まなくなる恐れがあります。あくまでも万が一の備えとして話すのがポイントです。万が一の事態をリアルに想像させないようにしましょう。また、一方的に押し付けないようにするのも重要です。
自分のことを真剣に考えたうえで親を心配していると伝えれば、なかなか終活しない親も自分の将来や備えについて考えてくれるはずです。
まとめ
本記事では終活を早めに始めるメリットや、終活の準備ややることリストの内容について解説しました。
終活は手間も時間ものですが、本記事で紹介したやることリストを見ながら、できることから始めておけば、相続準備やいざというときも、落ち着いて対処できるようになります。
この記事で紹介したやることリストを参考に、できることから始めてみてはいかがでしょうか?