敬語のきまり
敬語は円滑な人間関係を構築するための言葉であり、大きく尊敬語、謙譲語、丁寧語の三つに分けることができます。尊敬語、謙譲語が、話題に上る人に関係する敬語であるのに対し、丁寧語は対面する相手に対して用いられる敬語です。
尊敬語は話題の人を高めるわけですが、話題の人=聞き手の場合、聞き手を高めることになります。考えられる形式は次の四つがあります。①専用の語形で敬意を示します。例えば「言う」を意味する「おっしゃる」等がそれに当たります。②補助動詞で付加するタイプです。普通の動詞を補助動詞で尊敬語に変えます。「お書きになる」、「お書き下さる」等が挙げられます。③助動詞を用います。「書かれる」「話される」といった「~れる」「~られる」は頻繁に目にします。④接頭語、接尾語を使用し、「お帰り」「御立派」のように使います。
謙譲語は話題の人を低めて、結果的にその人の相手を高める用法です。相手が聞き手となる場合もありますし、話題の人が話し手の場合もあります。以下の三つの形式が考えられるでしょう。①専用の語形を用います。「あげる」を意味する「差し上げる」、「もらう」を意味する「いただく」、「見る」を意味する「拝見する」等がそれに当たります。②補助動詞の付加で謙譲を表します。「お知らせする」「お話し申し上げる」等が挙げられます。③接頭語、接尾語で「愚見」「弊社」などと言い表します。
丁寧語は聞き手に直接敬意を伝える言い方で、話題の人に対する敬意ではありません。「~ます」「~です」といった言い回しを付け加えて表現します。「まいる」「もうす」「いたす」は謙譲語と丁寧語の中間に位置する表現で、最近の分類では丁寧語として用いられるため、注意を要します。