冥銭
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冥銭

棺に副葬品として入れるお金のことを「冥銭(めいせん)」といいます。本物のお金を入れるのではなく、紙に金額を書いて棺に入れる風習がある地方もあります。故人があの世でお金に困らないように、という意味からきていると思われます。紙に書く金額が高額な程、故人を偲ぶ表 れとなるようで 、「100万円」や「 1 0 0 0万 円 」、「 l 億 円 」 と 書くこともあるようです。

本来、棺にお金などの副葬品を入れることに仏教的な意味はなく、こうしたしきたりは中国や台湾、韓国、ベトナムなどの東南アジアの一部でも見られるようです。

冥銭は棺に入れたり、仏前や墓前で焼いたりすることが多いようです。焚くことで、あの世で流通しているお金として故人に届くように、という意味がこめられてると言われています。

このような、仏教とは関係のない冥銭が広まったのは、あの世でもお金がいるだろうと人々が考えるようになった、貨幣経済の発達が影響していると思われます。中国や台湾、韓国では葬儀用品として販売されている冥銭があり、紙幣に似せて作られているそうです。中国の冥銭の中には、高額なドルの「冥通銀行」券が実在し、海外の博物館に所蔵されています。

本物のお金を入れる風習として残っているものに、六文銭があります。三途の川の渡り賃として棺に入れられます。(紙で代用される所もあるようです。)三途の川も仏教に民間の信仰が混ざりあってできたもののようです。日本の仏教においては、三途の川より先のあの世ではお金は必要ないとされているようです。

冥銭は仏教的意義というより故人を思う気持ちから広がっていった風習といえます。