有害物質から食品を守る
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有害物質から食品を守る

包装容器には様々な役割がありますが、中でも食品に有害物質が混入しないように防御する働きは、クライアントも消費者も重視するところです。特に毒が混入する事件が発覚して報道された後は、消費者の目も厳しくなり、包装材にかけられる期待はさらに大きくなります。例えば1998年に発生した和歌山の毒入りカレー事件や、1948年に起きた帝銀事件、1984年のグリコ・森永事件を契機として、包装材メーカーも一層心血を注いできたのです。実は「改竄を防止する包装」は日本に限ったものではなく、欧米でも「タンバーレジスタントパッケージ」が実践されています。米国では1982年に毒入り薬を呑んで死亡する事件が発生しており、政府が安全を担保する包装をメーカーに要請する事態に発展したのです。

このように経緯を振り返ると、「改竄を防止する包装」とは、犯行をはたらく者の悪知恵に打ち勝つことを目途としていることが分かります。米国の事件も実に巧みに決行されたものでした。薬局に陳列された解熱鎮痛剤にシアン化カリウムを混ぜた上で、元の状態に戻していたのです。それに気付くことなく購入した消費者が呑んでしまい、7人が死亡したわけですが、裏を返せば、7人は偽装に気付かなかったことになります。つまりボトルを開封してもその痕跡が残らなかったことが、偽装の成功に繋がってしまったわけです。包装材のメーカーとしては、この「偽装」を難しくする容器を開発しなければなりません。

アメリカでは消費生活製品安全局が規定するタンバーレジスタントパッケージを、包装材メーカーが遵守しています。それは食品から医薬品、化粧品にまで及びます。「開封すれば痕跡が残る」という最低限の対策を取らない限り、消費者から支持されることはありません。