学校と塾の二刀流が日本教育の強み
学校では、生徒の人生全体にかかわる長期的な視野で教育を行います。そこでは、部活や行事にもたくさんの時間を割き、授業内容も生徒たちの興味関心を引き出すことを主な目的としています。 対して塾では、入試をクリアすることを目標として定め、ひとまず短期的な教育を行います。基本的には部活もなければ行事もありません。毎回の小テストや模試で結果を積み重ねていくことをモチベーションとして生徒たちのやる気を引き出しています。
このように、日本では、学校で比較的長期的な視野での教育を行い、塾では比較短期的な視点での教育を行っているのです。 また、学校では主に人格形成に重きを置いた人生教育を行い、塾では受験勉強に重きを置いた教科教育を行います。 子どもや保護者は、「将来なりたい自分」を求めて学校を選び、「自分にあった受験勉強スタイル」を求めて塾を選ぶことができるのです。
この見事な分業が、日本の教育の優れた点です。 本来家庭で行われるべきしつけや道徳教育までも、学校で担えとの論があり、グローバルビジネスに対応するための英語教育はもちろん、国際理解についても、学校の現場で対応することが喫緊の課題であると多くの人が考えています。 また一方で、産業立固として国際競争力を 保つためには、理数教育もおろそかにはできないという声も大きく、すぐに会社を辞める若者や就活難民を減らすために、学校でキャリア教育を充実しようという動きもあります。早くから経済観念を育てるために、クレジット教育が重要だという人もいるほどです。
さらに、近年のインターネットの普及にともない、ITリテラシー教育も必要になっています。 しかし、学校は教育のスーパーマーケットではありません。なんでもかんでも学校に押しつけるのには無理があります。 社会が多様化・多面化しているのに、学柊たけであらゆるニーズに応えるというのは無茶昔茶な話です。 学校は、学校でしかできない教育を最優先にすべきであり、学校以外でもできることは、学校以外に任せるべきであると考えられます。 。 そこで、塾があることで、そのようなあらゆるニーズや圧力が学校に向かなくてすんでいるということなのです。