プロも自費出版することがあります
商業作家、批評家、学者などとして既に経験と実績がある、そんなプロの人間でも、自費出版を利用することはよくあります。
その利点は何かというと、「売り上げの作者への還元率が商業出版より高い」という経済的な部分。そして、「出版社の意向を考慮せず、自分の書きたいものを自由に出版できる」という内容に関わる面です。
ある職業文筆家は、新聞のコラムやウェブサイトに掲載する記事を執筆することを生業としていました。そうした文章の場合、作者のオリジナリティーと依頼者のメッセージとは混交します。比重は様々異なりますが、必ず、お金を払ってくれている依頼主の意向というものが、反映されなければなりません。
「〜〜について書いてください」と依頼を受けた場合、依頼者の立場や意見に合わせて、好意的に書いた方がいいのか、批判や糾弾を期待されているのか、ということは必ず把握して作業することになると思います。
しかし彼が本当に書きたいのは、「趣味としての囲碁と将棋が生涯年収に与える影響」についてでした。興味深いですが、かなりマニアックなテーマです。面白い文章、書籍になる自信はありましたが、おそらくこれを自発的に発行・出版してくれる商業出版社はないだろう。しかしこれは、自分にとってライフワークとも言える、非常に大事なテーマだ。
それほどまでに大事な文章ならば、プロの文筆家はきっと何としてでも発表したいとおもうことでしょう。
そのような場合、ありうる手段として最も有力なのは、「自費出版」ではないでしょうか。
もちろん、経済的な実利からの自費出版という選択も軽視できるものではありません。
一般に、印税といえば10%という常識があります。慣例化しているので、これを低いとも高いとも言い切ることはできませんが、「これでは生活が立ちいかなくなる、収入が少なすぎる」という判断から自費出版をするということが転機となって、経済的に大きく余裕が出てくることもあります。